保佐開始の申立・保佐人就任
保佐人職務開始までの流れ
保佐開始の審判申立てができる人(申立権者)
本人、配偶者、4親等内親族、成年後見人、補助人、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人、成年後見監督人、補助監督人 、市区町村長、検察官
保佐開始の審判申立てをする家庭裁判所(管轄)
本人の住所地の家庭裁判所
提出書類
1.申立書(800円収入印紙貼。但し、同時に同意権拡張又は代理権付与の場合、計1,600円。同時に同意権拡張及び代理権付与の場合、計2,400円。)
2.収入印紙2,600円・予納切手3,090円(平成26年4月現在)
3.本人の戸籍謄本・住民票(省略なし)
4.4親等内親族の申立の場合、現在戸籍謄本
(さらに、確認のため、つながりのわかる戸・除籍謄本等も)
5.候補者の住民票・身分証明書・照会書
6.本人の後見等が登記されていないことの証明書(特定の様式あり)
7.医師の診断書(特定の様式あり)
8.本人の照会書
9.親族関係図
10.不動産の登記事項証明書及び固定資産税評価証明書
11.収入・支出・負債に関する資料
12.預貯金、株式、保険等金融資産に関する資料
13.その他必要に応じ手配、作成
保佐人就任
保佐人となる者
欠格事由(未成年者・破産者等)に該当しないことは勿論、保佐人として、他人の財産を管理できる能力や倫理感(不正を働かないか)が備わっているかを、家庭裁判所は総合的に判断して、決めます。
申立て時に、候補者を立てることもできますし、適当な候補者がいない場合には、審判時に、家庭裁判所がふさわしい人を選任します。
申立て時に親族の候補者を立てたとしても、高度な法律行為が必要な案件の場合や、親族間でトラブルになりそうな場合には、司法書士等の法律専門職が選任されることがあります。
保佐監督人
家庭裁判所が必要と認めるときに、保佐人を監督する保佐監督人を選任することがあります。
親族が保佐人となる場合に、司法書士等の法律専門職が、保佐監督人となることもあります。
保佐人の同意権・取消権・代理権
保佐人の同意権・取消権
保佐人には、民法13条1項所定の重要な財産に関する行為についての同意権と取消権があります。
但し、日用品の購入等の日常生活に関する行為は除かれます。
被保佐人が、保佐人の同意が必要な行為を、同意を得ずに行った場合には、保佐人及び被保佐人はそれを取り消すことができます。
民法13条1項所定の重要な財産に関する行為とは
下記の通りですが、この同意権の範囲は、保佐人が当然有するものなので、登記はされません。
1.まとまったお金(元本)の受領や利用
2.借り入れや保証
3.不動産等の重要な財産の処分行為
4.訴訟行為
5.贈与、和解及び仲裁の合意
6.相続放棄・限定承認・単純承認・遺産分割
7.贈与拒絶・遺贈放棄・負担付贈与承諾・負担付遺贈承認
8.新築・改築・増築・大修繕
9.民法602条に定める期間(短期賃貸借)を超える賃貸借
同意権の拡張(民法13条2項)
上記民法13条1項所定の重要な財産に関する行為以外にも、保佐人の同意が必要と思われる行為が想定される場合には、家庭裁判所への審判申立てにより、同意権を拡張することができます。
この拡張された同意権の範囲は、同意行為目録として登記されます。
保佐人の代理権
保佐人には、当然には代理権はありません。
もし、代理権を必要とする行為が想定できるような場合には、被保佐人の同意を得て、家庭裁判所への審判申立てにより、保佐人に一定の代理権を付与することができます。
代理行為については、家庭裁判所が参考に用意する代理権目録にチェックして考えていくことになりますが、ある程度具体性(不動産の売却、施設入所契約等)が要求されます。
この代理権の範囲は、代理権目録として登記されます。
保佐人による被保佐人の居住用不動産の処分
保佐人に不動産取引についての代理権が付与されている場合、被保佐人の居住用の不動産を処分(売却・担保設定等)する際には、事前に家庭裁判所の許可を得なければなりません。
万一、許可なく売買代金の授受を行って、物件を引き渡したとしても、売買自体がそもそも無効と判断されるので、所有権移転の登記をすることができません。
その結果、保佐人の債務不履行責任が問われることになるので、注意が必要です。